お清め水復活の秘話
きっかけは、2020年春、山梨で一人暮らしをしていた父の急逝でした。 急性心筋梗塞、69歳。 当時はまだ未知のウイルスに日本中が震撼していたころで、本当に寂しい最期になってしまいました。
誰に対しても愛情深く、その優しさのせいでお金にも苦労した父。 そんな父が、生前に失敗してしまった事業があります。 それは、山梨が誇る名水【霊峰富士のお清め水】の販売。
商標を取得するほど力を入れておりましたが、 当時は世の中に殆ど出回らず、事業は失敗に終わりました。 珍しく肩を落とし、いつまでもいつまでも落ち込んでいたような気もしますが、 家族も、そこまで気に留めてはいませんでした。
時は流れ、父の死後、遺品整理をしていた時に、神棚の奥にそっと捧げられた【お清め水】を見つけました。
手に取った瞬間、父と繋がったような錯覚に陥り、父の果たせなかった思いが、なぜか自身のことのように、体の奥にひたひたと染みてゆきました。初めての感覚でした。 “神聖なお水だから、毎日飲むだけで守ってくれるよ。 自分の心を清めるのはもちろん、神様にも捧げてね。” 父の声も、ふわりと降りてきました。
その後、何をしていても【お清め水】のことが気になり、父のメッセージが頭から離れずにいました。 父が考案した【お清め水】について調べてみると、とても貴重なミネラルウォーターということがわかりました。 その源水は、富士山麓の町「富士吉田」で採水されたミネラルウォーター。
そして美しい水が流れる山梨県は、日本随一の宝石の町。 霊峰富士が育む豊かな自然と、地元愛に溢れた人々の昔ながらの営み。
今まで自分が培ってきたジュエリーの仕事のひとつひとつが、この【お清め水】とつながり、 次第に、父が果たせなかった夢を実現させることが、 この知られざる名水を通じて、地元山梨の魅力を伝えることが、私の本当の使命なのかもしれないと思うようになりました。